何をするにも「イヤイヤ」と怒ったり泣いたりするイヤイヤ期。
些細なことですぐにイヤイヤスイッチが入ってしまうので保護者の皆さんは疲れてしまいますよね。
中にはイライラして感情的になってしまったり、上手く対応することができず育児への自信がなくなったりする方もいるのではないでしょうか。
そんな皆さんのお力に少しでもなれるよう、今回は子供との向き合い方やイヤイヤ期の対応例をお話しします。
なぜ子供はイヤイヤするのだろうか?
1歳半頃~3歳頃の子供に訪れる「イヤイヤ期」。
「第一次反抗期」とも呼ばれているのですが、子供は決して保護者に反抗したり困らせようとしたりすることを目的にしているわけではありません。
イヤイヤ期は、子供の自我が芽生え始めて自分の主張や欲求を相手に伝えようとしている成長のしるしなのです。
その主張や欲求には自分でチャレンジしたい・今は〇〇がしたい・できないもどかしさ・甘えたいなど様々な感情がありますが、子供は大人のように言葉にして上手く感情を伝えることができません。
そのため、「イヤイヤ!」と怒ったり泣いたり、時には暴れたり奇声を発したりと子供なりに自分の主張や欲求を表現しているのです。
しかし保護者だからといってその主張をすべて理解できるわけではありません。どうして子供がイヤイヤしているのか分からず、育児への自信がなくなってしまうという方は多いのではないでしょうか?
次の章では、イヤイヤ期の子供との向き合い方についてお話します。
イヤイヤ期の子供との向き合い方
イヤイヤ期の子供は些細なことでもイヤイヤスイッチが入ってしまいます。
子供が何を思ってイヤイヤしているのか分からないからと言って、なだめるためにお菓子を与えたりアニメを見せたりと子供が好きなことだけをさせて自由にしてはいけません。
困ったりイライラしたりすることもあるかと思いますが、保護者はイヤイヤ期の子供の成長を受け止めてしっかりと向き合ってあげましょう。
子供の主張は受け入れる
イヤイヤ期の子供は身の回りのことや保護者がしていることを「自分で!」「したい!」とやりたがる傾向があります。
【例】
・自分で服のボタンを留めたい! ・コップに飲み物を注ぎたい! |
今まで保護者がしてあげていたことを自分でチャレンジしたいと主張することは立派な成長なので、子供のチャレンジ精神や自尊心を満たすためにも「いいよ」「やってみよう」と受け入れてあげましょう。受け入れていけないのはケガや命に関わることだけです。
しかし、時間がなかったり明らかに子供にはできないことをやりたがったりするときがあります。その場合は子供の主張を尊重するためにも、褒めながら「少しだけお手伝いしてもいい?」と声を掛けて一緒にやってあげましょう。
マイナスな言葉を使わずに落ち着かせる
外出先や忙しい時にイヤイヤをされたらつい叱りたくなってしまいますよね。
【例】
・まだ遊んでいたい! ・歩きたくない! |
しかし、感情に任せて「ダメ!」「鬼さんが来ちゃうよ」「静かにしなさい!」と否定や脅し、命令口調を使ってはいけません。
頭ごなしにこのようなことを言ってしまうと子供は抑えつけられた気持ちになって、主張する意欲を失ったりさらにイヤイヤしたりしてしまいます。
そのため、マイナスな言葉で叱るのではなくイヤイヤを落ち着かせて気持ちを切り替えてあげましょう。子供は以下のようなことをするだけでも落ち着くことがあります。
- 場所を移動して他のものに興味を向けさせる
- お菓子ではなく水分を与える
- 抱きしめて「そうだね」「よしよし」となだめる
- 「これは〇〇だからできないけど、これはいいよ」と代替案を出す
- 次に楽しいことが待っていると思わせる声掛けをする
関心を惹くための主張には淡々と対応する
子供は保護者の関心を惹こうとしてわざとイヤイヤをしたり良くないと分かっていることをしたりするときがあります。
【例】
・スプーンやくつを投げる ・ご飯の時間なのに食べずに遊ぼうとする |
このような行動にひとつひとつ対応していると子供はこれをやれば構ってくれると学んで何回でも繰り返してしまいます。
良いこと・悪いことの区別は何回か教えると理解できるので、悪いことをしたらしっかりと注意をして、それでも繰り返すようであれば淡々と対応しましょう。
例えば、ご飯の時間なのに遊んでいたら「食べないならご飯片付けるよ」と声を掛けて、食べない様子であれば本当に片付ける。遊び終わってから食べようとしても「さっき食べなかったからもうご飯はないよ」と伝える。
好きなことしかしない子供へと成長させないためにも、このように保護者がメリハリをつけて「決まった時間に〇〇をする」ということを身につけさせてあげましょう。
心が折れそうになったら自分の心を落ち着かせる
「イヤイヤは成長のしるし」「なるべくマイナスな言葉で叱らない」と分かっていても、育児は決して楽しいことばかりではないので保護者も心が折れそうになったりストレスが溜まったりしてしまいます。
保護者の心が安定していないと子供への対応も余裕がなくなってしまうので、まずは自分の心を落ち着かせることが大切です。
以下のように、嬉しいことや楽しいことを考えたり気の合う人と気持ちを分かち合ったりして気持ちを切り替えましょう。
- 妊娠中のドキドキや期待感、生まれたときの喜びや幸福感を思い出す
- 子供の写真や動画、成長記録などを見返す
- 子供がさらに成長した姿や子供とやってみたいことを想像する
- 気の合う友人や同じ悩みを持つ人と気持ちを分かち合う
年齢別のイヤイヤ期の特徴と対応例
イヤイヤ期である1歳半頃~3歳頃の子供は、たくさんのことに興味や関心を示して多くのことを学んで吸収する時期です。
イヤイヤと泣いたり怒ったりしていても、着実に知能・身体能力・言葉・生活力などは発達しているので、保護者の皆さんは子供の発達段階に応じた対応をする必要があります。
子供の性格や成長の仕方には個人差があるので、目安として年齢別の特徴や対応例をご紹介します。
1歳以降~(興味・関心期)
1歳以降の子供の多くは自我が芽生え始めるので様々なことに興味や関心を示します。
この時期の子供は、手を振って「バイバイ」、犬を見て「わんわん」、嫌なことは「イヤ」など意味のある単語を発するようになるとともに、保護者の「〇〇しようね」という言葉を理解して行動できるようになります。
言葉や歩行など自分でできることが少しずつ増えて好奇心が溢れているので、子供の主張はおおむね受け入れてあげましょう。
しかし、良いことと悪いことの区別や教養は教える必要があるので、良くないことをした場合はメリハリをつけて注意しましょう。
1歳以降の子供は以下のような主張をすることがあるので、対応例と併せてご紹介します。
2歳以降~(チャレンジ期)
2歳頃の子供は自分でできることや言葉の発達が伸びている時期なので、自分の身の回りのことや保護者がしていることを「自分でやりたい!」とチャレンジしようとします。
とはいえ、まだ知能や指先などの発達は未熟なので意欲に反して言葉や行動が追いつかず、「やりたいのにできない」という葛藤から癇癪(感情を抑えきれずに激しく怒る)を起こす子供は少なくありません。
このような場合、保護者がイライラして感情的にあったり無理矢理やってあげたりすると癇癪がエスカレートしてしまうので、子供の意欲を尊重するためにもなるべく手を貸さずに褒めながら見守ったり、「そうだね」「イヤだね」と気持ちを受け止めたりして対応してあげましょう。
この時期の子供の主張や欲求に併せた対応例をご紹介します。
3歳以降~(自立期)
3歳頃を過ぎた子供は、嫌だという気持ちに主語や理由を付けられるようになったり、発想力や生活力が発達したりと自立心が現れ始めます。
しかし、意思がはっきりしているからこそ自己主張やこだわりが強くなったり、できるようになったからこそ甘えたい気持ちが高まったりもする時期です。
子供の主張や考えを尊重するためにも、子供に「どうしたらいいかな?」と尋ねて考えさせてあげたり、保護者がいくつかの案を出して選ばせてあげたりしましょう。
この時期の子供の主張と対応例をご紹介します。
まとめ
イヤイヤ期は1歳半頃~3歳頃の子供に訪れる自我の芽生えです。
欲求や感情を伝えたくても言葉や行動が追いつかないので、イヤイヤと怒ったり泣いたりして気持ちをコントロールしています。
子供は決して保護者を困らせることを目的にしているわけではないので、大きな心で余裕を持って以下のように向き合ってあげましょう。
- 子供の主張はケガや命に関わること以外受け入れる
- マイナスな言葉を使わずに落ち着かせてあげる
- 保護者の関心を惹くための主張には淡々と対応する
- 心が折れそうになったら自分の心を落ち着かせる
1歳半頃~3歳頃と言っても知能や身体能力・言葉・生活力などは成長によって差があるため、年齢や発達段階に応じた対応をすることが大切です。
とはいえ、子供に対する声掛けや育て方に正解はありません。子供のことを一番近くで見守っている皆さんが楽しいと思える育児ができるよう応援しています。