冬になると気になるのが子供の肌の乾燥です。
以下の症状にひとつでも当てはまる場合は乾燥肌と言ってもいいでしょう。
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子供の皮膚は大人よりも薄く乾燥しやすいので、かゆみを我慢できずに強い力で掻きむしってキズができてしまうという子供は少なくありません。
子供の肌を守るためにも、乾燥の原因を知って改善へと導いてあげましょう。
今回は肌が乾燥するメカニズムや原因、その改善方法をご紹介するとともに、乾燥肌に似た症状の肌トラブルもご紹介します。
肌が乾燥するメカニズム
肌の表面は「皮脂膜」という水分と皮脂で構成された膜で覆われています。この皮脂膜は紫外線や掻きむしりなどの外的刺激から肌を保護して、肌内部の水分が失われるのを防いで潤いを保持する働きをしています。
また、皮脂膜の内側は角質層になっており、そこには角質細胞内の水分を保持している「天然保湿因子(NMF)」と角質細胞の隙間を埋めている「細胞間脂肪(セラミド)」が存在しています。
この皮脂膜・天然保湿因子・細胞間脂肪は「肌のバリア機能」とも呼ばれており、3つが正常に成り立つことで健康な肌を保つことができます。
しかし、これらのバランスが崩れると肌を保護する機能が衰えてしまい、肌内部の水分が不足して乾燥を招いてしまうのです。
一体何が原因となって肌は乾燥してしまうのでしょうか。次の章で詳しくご説明します。
肌の乾燥を招く5つの原因
肌が乾燥するとカサつきやかゆみなどの症状が出るため、我慢できずに掻きむしってキズができたり軽度の出血を起こしたりする子供は少なくありません。
このような肌トラブルを防ぐためにも、これからご説明する乾燥を招く5つの原因をしっかりと把握しましょう。
身体の冷えによる乾燥
外の気候や室内の冷房によって身体が冷えると皮膚の代謝が下がり、皮脂を分泌する皮脂腺や汗を出す汗腺の機能が低下してしまいます。
すると皮脂の分泌量が減少するので皮脂が上手く形成されず、肌内部の水分が放出されて乾燥を招いてしまうのです。
エアコンや暖房器具による乾燥
子供のいる家庭では夏や冬に快適な温度を保つためにエアコンを長時間使うかと思いますが、エアコンは空気中の水分を吸収する造りになっているので長時間使用すると空気が乾いて肌が乾燥してしまいます。
また、こたつやストーブ、ホットカーペットなどの暖房器具を使用することでも、熱によって肌の水分が蒸発してしまうので乾燥を招いてしまいます。
外的刺激による乾燥
紫外線を浴び続けたり肌を掻きむしったりすると肌のバリア機能が破壊されて肌の乾燥を招いてしまいます。
また、肌は外的刺激を受けると護衛反応によって余分な角質を作り出す「角質肥厚(かくしつひこう)」という状態になります。
角質肥厚を起こすと皮膚が多少厚くなるため、保湿クリームなどが肌に浸透しにくくなり乾燥を招く恐れがあります。
お風呂の習慣による乾燥
お風呂に入る際、以下のことを行っていると皮脂が必要以上に失われて肌が乾燥してしまいます。
- お湯の温度設定が40度以上と高温である
- 一日2回以上お風呂に入っている
- 硬い素材や繊維の粗いボディタオルでゴシゴシと洗っている
- 合成界面活性剤が配合されている石鹸やボディソープを使っている
合成界面活性剤はバリア機能の一種である細胞間脂肪を溶かす性質があるので、以下の成分を配合している石鹸やボディソープは使用しないようにしましょう。
- ラウリル硫酸ナトリウム
- ラウレス硫酸ナトリウム
- コカミドDEA
- コカミドMEA
- ココイルイセチオン酸ナトリウム
- ラウラミドDEA
肌の乾燥を招く食生活
パンの食べすぎやビタミンA不足は乾燥肌になる恐れがあります。
小麦や大麦、ライ麦などを使用したパンには「グルテン」というたんぱく質が含まれているのですが、グルテンには肌を乾燥させる作用があると言われています。
また、ビタミンA(にんじんやかぼちゃ、ほうれん草など)にはバリア機能の一種である天然保湿因子の生成を促す働きがあるため、不足するとバリア機能が衰えてしまうのです。
乾燥肌を改善する4つの方法
乾燥肌は肌トラブルの一種なので、改善するためにはまず皮膚科を受診することをオススメします。
しかし私生活を見直すことも改善に繋がるので、この章では乾燥肌を改善する4つの方法をご紹介します。
毎日しっかり保湿ケアをする
保湿ケアは乾燥しやすい秋冬のみ行えばいいと思われがちですが、春夏の温かい時期もエアコンの使用によって肌が乾燥したりあせもによって肌を掻きむしったりすることがあるのでバリア機能が衰えてしまいます。
そのため、保湿ケアは季節問わず毎日行うことが大切です。秋冬は保湿力がより高いアイテムを使うようにしましょう。
また、保湿ケアはお風呂上りに行うのがベストです。体温の上昇によって皮膚が柔らかくなっているので保湿成分が浸透しやすいのです。
以下の成分は優れた保湿力を持っているため、これらが配合された保湿アイテムをオススメします。
- スクワラン
- セラミド
- ヒアルロン酸
- コレステロール
保湿アイテムの中でもクリームタイプは伸びが良く保湿力も優れているのでオススメです。子供の肌は敏感なので低刺激や無添加のものを選ぶようにしましょう。
低刺激でも子供の肌に合わないと肌トラブルを起こし兼ねないので、使用前は必ずパッチテストを行いましょう。
室内を加湿する
室内の湿度は40~60%を保つことが理想です。
室内が乾燥していたりエアコンなどの暖房器具を使用したりする場合は、肌の乾燥を防ぐためにも加湿器を活用しましょう。
加湿器がない場合は、室内に濡れタオルをかけることで代用することができます。
お風呂に入る際の注意点
お風呂はバリア機能を低下させやすいため、以下の習慣を心掛けましょう。
- お湯の温度は適温である38~40度に設定する。
- 石鹸やボディソープは弱酸性の低刺激タイプがオススメ。
- 子供の身体を洗うときは石鹸やボディソープをよく泡立てて、手で撫でるように優しく洗う。
- 秋冬はあまり汗をかかないので身体全部を洗う必要はありません。汗をかいたり汚れたりした部位以外はお湯で洗い流す程度にする。
- お風呂上りはすぐに身体を拭き、保湿ケアをする。
保湿効果のあるものを食べる
以下の栄養素はバリア機能の働きを高めたり肌の健康を保ったりする効果があるため、これらの栄養素を多く含んだ食材を積極的に摂り入れるようにしましょう。
また、パンの食べすぎは乾燥を招くとお伝えしましたが、米粉で作られたグルテンフリーのパンは食べても問題ありません。小麦アレルギーの子供でも食べることができるのでオススメです。
もしかしたら乾燥肌ではない肌トラブルかも?
乾燥肌の主な症状は肌のカサつきやかゆみですが、このような症状は乾燥肌のみに起こることではありません。
何かしらの肌トラブルを起こしているのに乾燥肌だと思い込んで病院へ行かずに放置していると状態が悪化する恐れがあるので、子供がかゆみを訴えたり少しでも肌トラブルを起こしてると感じたりしたら皮膚科や小児科へ行くようにしましょう。
様々な肌トラブルの中でも「蕁麻疹」や「アトピー性皮膚炎」は乾燥肌と似たような症状があるので詳しくご説明します。
蕁麻疹(じんましん)
蕁麻疹とは全身にかゆみや赤い膨疹(小さいブツブツから広範囲に膨れ上がるまで様々)が出る病気のことで、アレルギー性と非アレルギー性に分かれます。
アレルギー性蕁麻疹は特定の食品や薬品、動物、植物などによって発症し、非アレルギー性蕁麻疹は急な温度の変化や肌の圧迫、日光や汗による刺激などによって発症します。
症状は数時間から一日程度でおさまりますが、原因を知っておくことで蕁麻疹の繰り返しを防ぐことができるので似たような症状が出たらまずは病院へ行きましょう。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは強いかゆみを伴い皮膚がカサカサ・ジュクジュクする病気のことで、遺伝や乾燥肌の悪化、ハウスダストやカビ・ダニなどのアレルギーによる影響が原因となって発症します。
症状は季節によって良くなったり悪くなったりを繰り返す人や一年を通して常に症状が現れる人などそれぞれです。
症状が出る部位は年齢によって特徴があり、乳児期は顔や頭を中心に、幼児期以降は首や手足の屈曲部を中心に全身に現れます。
外用薬や内服薬を処方してもらうことで症状を抑えることができるので、悪化を防ぐためにもすぐ病院へ行きましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか、子供の肌は健康に保ちたいものですよね。
子供は大人よりも皮膚が薄く乾燥しやすいので、以下の点を日常的に行っていると肌のバリア機能が衰えて乾燥を招いてしまいます。
- 身体の冷えや空気の乾燥をそのままにしている
- 紫外線を浴びることが多い
- お風呂の温度設定が40度以上
- 硬い素材や繊維の粗いボディタオルでゴシゴシと洗っている
- 合成界面活性剤が配合されている石鹸やボディソープを使っている
- パンの食べすぎやビタミンAが不足している
乾燥肌の主な症状は肌のカサつきやかゆみですが、我慢できずに掻きむしってしまうと炎症や軽度の出血を起こしてしまうので、そうならないためにもまずは病院を受診して以下の対策を心掛けましょう。
- 季節問わず毎日保湿ケアをする
- 室内の湿度を40~60%で維持する
- お風呂やシャワーの温度は38~40度に設定する
- 子供の身体を洗うときは低刺激で弱酸性の石鹸やボディソープを使い、よく泡立てて撫でるように優しく洗う
- 保湿効果のある食べ物を積極的に摂り入れる
また、乾燥肌だと思い込んでいても実は「蕁麻疹」や「アトピー性皮膚炎」である可能性もあるので、肌トラブルが気になったらまずは皮膚科や小児科を受診することをオススメします。
子供は自分の肌を管理することが難しいので、保護者の皆さんが子供の肌を守ってあげましょう。