秋冬や季節の変わり目に気になる肌の乾燥。
乾燥肌になると肌がカサカサして粉を吹いてしまうだけでなく、かゆみを感じやすくなってしまうのです。
乾燥した肌はバリア機能が弱っている状態なので、我慢できずに掻きむしってしまうと肌が傷つきさらに負担がかかってしまうので早めに対処をしましょう。
今回は乾燥肌によるかゆみの原因と共に対策方法をご紹介します。
乾燥肌によるかゆみの原因
皮膚の表面には角質層内の蒸発を防いだり外側からの異物の侵入を防いだりする役割を持つバリア機能があります。
このバリア機能が低下することで肌は乾燥してしまうのですが、肌が乾燥すると角質層に微細なひび割れができ、本来真皮にある「かゆみ神経」が表皮まで伸びてしまいます。
そのため少しの刺激でもかゆみに敏感になってしまうのです。
これが乾燥肌の人にかゆみがおこる仕組みです。
かゆみの原因はバリア機能の低下ですが、バリア機能が低下する要因はたくさんあるので一つずつご紹介していきます。
ターンオーバーの乱れ
ターンオーバーとは肌が生まれ変わり新しい角質層を作り出すサイクルのことですが、このサイクルが乱れるとバリア機能は低下してしまいます。
なぜならターンオーバーが乱れると角質層内の保湿成分が不足してしまうからです。
ターンオーバーは以下のようなことで乱れてしまいます。
- 睡眠不足
- ストレス
- 過度なダイエット
- 疲労
- 喫煙
- アルコール
- 運動不足
- 食生活の乱れ(野菜不足・脂肪分過多)
- 便秘
- 冷え性
エアコンの使用による空気の乾燥
エアコンによって室内の空気が乾燥すると肌も乾燥してしまうのでバリア機能が低下してしまいます。
冷房と暖房では乾燥の仕方が少し違います。
冷房は部屋の外に熱を出す仕組みをしており、外に空気を出す際に部屋の空気中の水分も一緒に放出されてしまうのです。つまり室内の空気中の水分が少なくなることで乾燥します。
暖房は外に空気を出さないので水分量が少なくなることはありませんが、部屋の温度が高くなることで湿度が下がり乾燥してしまうのです。
空気が乾燥していると肌内部の水分が蒸発するため肌が乾燥してしまうのです。
さらに冷房が効きすぎていると体が冷えて血行が悪くなってしまいます。すると代謝が下がりターンオーバーが乱れてバリア機能が低下してしまいます。
紫外線
紫外線をたくさん浴びると皮脂が酸化してしまうため、バリア機能が低下します。
また、肌は紫外線を浴びると外的刺激から肌を守ろうとして「角質肥厚」という角質が分厚くなった状態になるので、ターンオーバーの周期が乱れる恐れがあります。
加齢
肌内部の水分や保湿成分は年齢とともに減少するためバリア機能が低下します。
また、皮脂(肌に膜を張り潤いを保つ働きをする)の分泌は自分の意志ではなくホルモンがコントロールしているのですが、ホルモンの分泌量も年齢と共に減少していくので皮脂の分泌量も減少してしまうのです。
入浴
入浴をすると肌が保湿されそうなイメージがありますが、実は入浴は肌が乾燥する原因のひとつなのです。
湯銭に浸かると角質層は水分を最大限含んだ状態)になるため角質層細胞の間隔が広がってしまいます。するとそこからバリア機能の維持には欠かせない天然保湿成分や皮脂が流れ出てしまうため、バリア機能は低下してしまうのです。
さらにナイロンタオルなどでゴシゴシと洗うとバリア機能が破壊されて肌内部にある保湿成分が流れてしまいます。
湯船に浸かると体が温まりますが、血行がよくなるとかゆみが起こる場合もあります。
乾燥でかゆみを起こさないための対策方法
この章では乾燥によるかゆみを発生させないための対策方法をご紹介します。
冷やす
かゆみを感じたら掻かずに冷やしましょう。
冷やすことで知覚神経の興奮を鎮め、かゆみを抑えることができるので保冷剤や氷をタオルに包んでかゆい部分に当てたり、冷たいシャワーを当てたりして冷やしましょう。
保湿
保湿剤を塗って保湿をしましょう。
保湿剤を塗ることで皮脂の表面に人工的な膜がつくられるため肌内部の蒸散を防ぐことができるのです。
普段からこまめに塗ることをおすすめしますが、特に入浴後は体が温まり毛穴が開いている状態なので保湿成分がより浸透しやすいのです。
また、塗った後のべたつきを気にして少量だけ塗る方がいますが、それでは効果を発揮しにくいので適量を塗りましょう。
以下の成分は保湿効果が高いので、これらが配合されたものがおすすめです。
- 尿素
- セラミド
- ヘパリン
エアコンや暖房器具を使いすぎない
エアコンを長時間使用すると空気が乾燥してしまうので使いすぎないようにしましょう。
肌に最適な湿度は50~60%とされているため、エアコンを使用する際は加湿器を使って湿度を調整しましょう。
また、こたつや電気毛布、ホットカーペットなども血行が良くなることでかゆみの原因となるので高温にしたり長時間使用したりすることは避けましょう。
衣服は肌に優しい素材を選ぶ
衣服が肌に刺激を与える場合もあるので肌に直接触れる衣服は、綿や絹(シルク)などの肌に優しい素材がおすすめです。
ウールやナイロンなどは肌に刺激を与えてしまうので着ることを避けたり間に1枚挟むなどすると良いでしょう。
入浴
入浴時の注意点をご紹介します。
湯船の温度はぬるめに設定して長時間の入浴は避ける
暑すぎるお湯に長時間浸かると乾燥の原因になるため、お湯の温度は38℃~40℃と少しぬるいと感じるくらいに設定しましょう。
また、入浴時間が長いと肌の水分が減少してしまうため、長くても15分を目途に湯舟から出るようにしましょう。
そして入浴後は肌内部の水分が蒸発しやすいので、まだ体が温まって肌しっとりしているうちに保湿剤を塗るようにしましょう。
ナイロンタオルを使わない
実は汚れは手で優しく洗いシャワーで流すだけでも十分に落とすことができるので、ナイロンタオルの使用を控えましょう。
ボディソープや石鹸は汚れを落とす効果がありますが、使いすぎると皮脂が落ちすぎてしまい乾燥肌を悪化させる恐れがあるので適切な量を使うように心掛けましょう。
辛い食べ物やアルコールは避ける
体が温まると血行がよくなりかゆみが起こりやすくなるため、辛い食べ物やアルコールなど汗が出たり皮膚が熱くなったりするような飲食物は控えましょう。
対策をしても治らないかゆみは皮膚科へ
上記の対策をしてもかゆみが治まらないという場合は、皮膚科へ行って医師の診察を受けましょう。
かゆみを抑える薬を処方してもらえることもあります。
その他の原因でかゆみが起きている可能性もあるため医師の指示に従って治療しましょう。
まとめ
乾燥肌はバリア機能の低下によりおこります。
バリア機能が低下すると表皮までかゆみの神経が伸びてしまうのでかゆみを感じやすくなるのです。これが乾燥肌によってかゆみが起きる仕組みです。
かゆみに耐えられず掻いてしまうと角質層が破壊されてバリア機能がさらに低下してしまうので悪循環に陥ってしまいます。
- 保湿をする
- エアコンや暖房器具を使いすぎない
- 衣服は肌に優しい素材を選ぶ
- 湯船の温度はぬるめに設定して長時間の入浴は避ける
- 体を洗う時はナイロンタオルを使わない
- 辛い食べ物やアルコールは避ける
対策をしてもかゆみが治まらない場合は、乾燥肌以外のことが原因という可能性が高いので皮膚科を受診しましょう。